音楽の友 2007年1月 (抜粋)

いま、このピアニストたちを聴け!

日本人編 チャレンジするヴェテランたち

大ヴェテランとして精力的な活動を続けてきた田崎悦子は、このたび、3年がけ6回の「田崎悦子ピアノ大全集」と銘打った新たな演奏会シリーズを開始した。一見物々しいようなタイトルだが、第1回の“バロックから古典へ”から最終回の“20世紀から21世紀まで”へと、シリーズ全体にわたってピアノ音楽史を俯瞰するような選曲がなされており、田崎自身がこれまでに弾いてきた大好きな作品の中に新たな発見を見出したいという態度で取り組むということなので、タイトルの看板に偽りなしである。

教育者としても多忙な彼女だが、多くの演奏家が教育者になると演奏活動が間遠になってしまう中、こうした大きな企画を敢行することに彼女の演奏家魂が感じられる。本当は教育者こそ演奏家としてのあるべき姿を自らが示すべきなのであり、それを実行している彼女の姿勢は範とすべきものがあるといえよう。

(寺西基之) 

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